今月の一作品

2005年2月

悪魔と戦うヴィシュヌ

「悪魔と戦うヴィシュヌ」
 リーラー・デーヴィー
縦161センチ×横163.2センチ

*絵をクリックすると拡大図がご覧頂けます*

  故ガンガー・デーヴィーが住んでいたラシッドプールは、町から力車で3時間くらいかかる。村のはずれにはバニヤンの大木がある。
 ガンガー・デーヴィーが二度と村には帰ることができなくなったとインドのマスコミに大きく取り上げられ、ほとんどの人々がそのように考えた時期(1987年)がある。しかし、ニユーデリーの国立病院の優れた女性の医師の力と何人かの協力者の力と天命によって、彼女の末期症状の癌は奇跡的に止まった。その時、医師が要求した高額なドイツ製の抗ガン剤を偶然に半分ほど私が出すことになり、残り半分は今のインドを動かしている最も重要な一人といわれるソニヤ・ガンジー女史が協力した。
 そして、念願の村に帰れることになった。ただし、一時的な数日だけが医師より許可が下りた。その時彼女は、村の入り口(村境い)にあるバニヤンの大木の前に座り、2時間近くプージャー(祈り)を捧げた。そして村の中に入り、小さな土壁の家に着くと、また同じように時間をかけて神に感謝した。この絵の作者は、彼女の絵の手ほどきを受け、育てられた。
 ガンガー・デーヴィーの絵の特徴が、この絵にも垣間見られる。この絵を見ていると、この村の持つ伝統の力と未来に対する可能性を感じさせる。






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