今月の一作品

2004年7月

太陽神スーリヤ

「太陽神スーリヤ」
 ボーワ・デーヴィー
縦162センチ×横366.2センチ

*絵をクリックすると拡大図がご覧頂けます*

 ミティラー画という名前で世界に知られるようになった、この絵画運動の面白さ、幅の広さの中にボーワ・デーヴィーが描く独特な大胆な構図を持つ絵がある。1989年にポンピドゥで三つの周辺施設を使い準備に三年の歳月をかけた展覧会「地球の魔術師たち展」にインドからゴンド画のジャンガル・シンと彼女が選ばれた。その会場では確か「クリシュナと牛」を描いたと記憶している。今回、紹介する作品は非常に大きくてコンクリートの擬似壁のため、三点ほど描いてもらっているが一つは体育館、ひとつは二階の制作室で完成させた。二階へ上げるというのは非常に大変で階段を跨ぐようにして、つまり階段の縁で300キロ近い絵を乗り越えさせて絵の上下をひっくり返さないとあがらない。そこで、書き終えた絵を数年制作室に展示していたが地震があったときに倒れひびが入ってしまった。今も二階の廊下に布が被され他の同じ大きさの作品とともに保管されている状態。群馬県の前橋市の市役所のロビーにさらにもう一点の絵が展示されている。前橋市の中でも一番古い商店街の活性化のために空き店舗を使ったイモカというギャラリーがオープンし、その記念にミティラー絵画展を協力したときに最も人が来るという、市役所のエントランスホールで彼女は書き上げた。
 日本で行われる横浜のトリエンナーレや地元妻有トリエンナーレ、こうした日本発の国際展でこのような作品が参加できるようにキューレーターやチーフプロデューサーに提案して来たが、実現しなかった。いまだ周辺イベントと言う形の展覧会のみ。現代アートと称される領域の人たちはいつまでもこのようなアートの存在を今のままで放置していくのだろうか。新しい感性を持つ人々の出現を待ちたい。ちなみにマジカルアート展では日本から勅使河原氏が選ばれ竹を使って「茶室への道」という作品をつくったと記憶している。これを主催したマルタン元館長とニューデリーの国立手工芸博物館の当時館長だったジェーン氏と1993年7月に北海道ニセコの露天風呂で変わらない日本のアート状況について話したことが思い出される。











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