今月の一作品

2004年2月

クリシュナとラーダー

「クリシュナとラーダー」
 ガンガー・デーヴィー
横205センチ×高さ267センチ

*絵をクリックすると拡大図がご覧頂けます*

 ミティラー美術館オープンの年(1982年)は、実際は大池市民施設のギャラリーとしてスタートしました。大池の開発に対して反対し、代替案としてスタートするにあたって、できるだけ市民のための施設として活用しようと考えて出た名前です。ギャラリーとして三年間、ミティラー画を展示しようとしてスタート。4月29日のオープニングは、地元のマスコミの方々も多く来てくれた。ラムテクチャンドさんがインド大使館から来てくれた。(詳細は「宇宙の森へようこそ」)
 しかし、そのオープニングに招待したはずのガンガー・デーヴィーさんは来なかった。ミティラー画を育てたププル・ジャヤカルさん(インド文化遺産関係首相顧問)に出発の日に止められたからだ。その後、現地を訪れ、本人からその話を聞いた。それは大英博物館を中心に始まる大インド祭の目玉の絵「人の一生」の制作が遅れていたことが理由だった。その時の彼女との出会いが、ミティラー美術館誕生につながった。
 その年の秋にやってきたガンガー・デーヴィーは19日間もかけてこの絵を描いた。ベニヤに白く塗料を塗った壁に毎日むかっては描く。フルーツだけを食べる日、次の日は何も食べないで描くこともあった。太陽神スーリヤにお祈りをする日だという。朝、沐浴した後、二時間ほどラーマヤナを読経。夜も二時間ほど唱える。完全な菜食。今、2メートルを超える雪に埋もれる美術館の奥の正面に展示されている。この伝統の構図をもつ絵には彼女の心が表れている。この絵のもつコスモロジーにはそれから生まれてくる新しいタイプの創造的な絵画の世界がすでにあることが垣間見ることができる。(詳細は図録「ガンガー・デーヴィー」)











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