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1999.2.20 |
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ワルリー画実演 |
会場風景 |
ビル族の壁画 |
☆その他、展示作品以外のディスプレイ及び企画の一例
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先住民年(10年間)の始まった年、日本はもとより世界各国で世界に散在する先住民のことが話題になった。技術の革新を次々に生んでいく現代技術文明の様々な矛盾が露呈された今、その対極に位置する先住民の文化が、新たに注目されることになった。自然との共生社会を21世紀に目指さなければならなくなった現代社会において、先住民族の持つ、あるいはかつて持っていた自然との深い交感による彼らのコスモロジーは、未来社会にむけた人類の歴史的文化遺産として映るようになった。
インドには500に及ぶ先住民が暮らしており、インド5,000年の文化の基層をなしている。また、それらは原アジア的な文化であり、アジア大陸の東端に位置する日本の文化を考える上でも貴重であり、豊かな文化が残っている。こういった先住民の芸術はインド政府の努力によって、例えば、現代の先端の芸術と比せられるほどの注目を浴びている。ワルリー族の描くワルリー画は、現代の先住民アートとして、ニューヨークの前衛アートに対比されて評価されている
今回の展覧会は、この先住民の文化、ワルリー画、脱蝋法による鋳像ドクラ、先住民の野焼きによる素朴な埴輪の源流を思わせるテラコッタ、巨大なビハール州のテラコッタ群、ビル族(マディヤプラデーシュ州)の壁画、サンタル族(ビハール州、ベンガル州の絵ポトア等を紹介する。
展示される作品は、インド各地に散在する主要な先住民の作品を文化人類学的に集めたものではない。インドの先住民は現代(いま)という我々と同時代を生きる人々である。これらの先住民の生活に根ざした文化の持つ優れた芸術性、精神性を持つ作品を紹介することによって、我々の心を深くとらえ、未来に向けての糧を与えると考えるのである。
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1)ワルリー画 40点
インドには500に及ぶといわれる先住民族が今も暮らしている。いわば、インドの文化の泉ともいうべき、先住民族の文化の中でも、マハラーシュトラ州ターネー県に居住するワルリー族によって描かれるワルリー画は、その代表的なものである。ロックペインティングを思わせる素朴な線によって表現される絵画には、森や自然に抱かれた彼らの暮らしや文化、果てしなく広がるコスモロジーが凝縮しており、絵物語そのものと言える。2)ドクラ
展覧会のために特別に制作された1メートルあまりの作品6点を中心とした30点
脱蝋法によって鋳像するドクラは、モヘンジョ=ダーロ(インダス文明)から発掘された有名な像「踊り子像」(紀元前2500年頃)と殆ど同じ製法で作られている。先住民族の生きた伝統として今日まで伝えられてきた。先住民族の人たちは、いまだに昔ながらの生活様式を守って暮らしている。彼らの芸術作品には豊かな自由な思考と創造力の働きが認められる。特定の人によって生み出されたものではない、共通の文化遺産として、経験を共有する人々によって生み出されてきた共同芸術である。鋳像のもつ極めて素朴で原初的な性格は、先住民の古い神話や伝説、昔ながらの儀礼、自然の精霊や祖先の霊などに対する信仰に由来する。3)テラコッタ
サマナ(壁)というラバーリー部族(グジャーラート州)の住居の内壁に粘土と雲母の鏡を素材とする浮き彫り。「(こうした飾りがあるところでは)一つのランプを点せば100のランプの灯りが照り映える」と彼らは言う。同州に住むチョウドリー部族の死者が住むと考えられているグマト(丸屋根・死者の家)、豊饒多産、安寧、治癒などを祈願する各種奉納物(馬、牛、耳、人物)、マニプリ州のテラコッタなど20点4)巨大テラコッタ
ビハール州のテラコッタは現在日本では作れないような巨大なテラコッタを制作している。2メートル40センチほどの巨大なハヌマーン像、および大型のテラコッタ神像、巨大酒壷、水瓶、儀礼に使用されるもの。5)ビル族の壁画(11メートル)1点
6)サンタル・ポトア 15点
西ベンガル州やビハール州で縦長の絵巻をもってサンタル族の村を語り歩く絵師はポトアと呼ばれている。彼ら自身はベンガル人ではあるが、近隣のサンタル族の村に入りサンタルの言葉で物語を語り歩く。描かれている内容はサンタルの神話、祭り、神々、世界観などである。またこれらの絵とは別に、彼らはサンタルの家に死者がでると、目の入っていない絵をもってその家に行き目を入れる。死者が迷わずに祖霊界に行けるようにというものである。
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最も基本的な民俗画展の企画経費・内訳については次の通りです。
*様々な形態での展覧会が可能です。50万円の経費により展覧会を実現している自治体の例もありますので詳しくはミティラー美術館にお問い合わせ下さい。
*さらに詳しい内容につきましてはミティラー美術館までお問い合わせ下さい。
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