「2003年9月」
長谷川 時夫
火星が最も接近した夜、空を見ると雲の中から現れました。数日前もすんだ夜空に光の筋を放って輝いている。昨夜は鈴虫の夜空に付きがいました。なかなか落ち着いて仙人テストの題をと思いながらもできません。今年の冬も終わる頃凍み渡った雪の森を歩き、雪を蹴飛ばすと薄い氷のような塊が滑っていった。それを立てて穴を開けたら、満月の光がそこを通って、雪原を照らした。頭を氷る白い大地につけて覗くと、青白い雪の門の中に、今まで見たことのない月がいた。月見亭に戻っていつかそのことを仙人テストに出そうとメモに書き留めた。 |
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